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Vol.36 ルームメイト 座キューピーマジック [座キューピーマジック]

前回の『黒サンタ』は、とても素晴らしい公演でした。
感想でも書いたように、この高い質感がただ再演を繰り返した結果ではなく、座長が推進している『台詞のキャッチボール効果』であるとすれば、今回の公演もかなり高品質な舞台になりそう。

今回、いつもの友人は仕事&風邪でパス。カミサンと二人での観劇です。
実は、カミサンの書いたアンケートがパンフに載り、二人して『ご招待』していただきました。
さらには、このサイトの感想文も、DMで一部引用されたりしました(嬉)。
ただ観も何なので、ちょっと手持ちなどを買い込み、期待満々いざ東京へ。

それで…。
泣きました。泣かされました。後半はもう、涙、鼻水ぼろぼろです。
会場いっぱい、涙が『ピューッ…ピューッ』って、乱れ飛んでいました(笑)。
いよいよ、これは本物です。この頃のキューピーには、目を見張るものがあります。
さらに今回は、脚本の良さに驚きました。ほんとにこれって新作なの?
まるで何度も再演を重ねたかのような、非常に完成度の高い脚本でした。
脚本のことを言うと、幽霊をもう少し減らして登場人物を少なく出来そうで、役者の少ない小劇団や高校生などには、うってつけな脚本ではないか!?とも思いました。
また、どの役者も素晴らしく、冒頭からいきなり物語の中に引き込まれてしまいました。
特に古風な深窓の令嬢風幽霊の山口智美は、堂々として声のとおりもよく、役者としてあまりの成長ぶり?に、びっくりさせられました。

幽霊とは知りながらも千恵子とは別れたくない。
でも千恵子と会うためには、千恵子が死んでいくのを毎晩見なくてはならない。
そんな主人公、美津子のつらさが、とてもよく伝わってきて、胸が押しつぶされそうな気持ちになりました。
自分ならどうだろう?なんて考えてみると、それほど大事に思う友人っていないなぁと思います。
見方を変えると、千恵子に対しては、ある意味羨ましさも感じますね。

そしてさらに、千恵子の父親。ラストでちょっとだけしか出ませんが、私はこれに一番共感を受けました。
そうなのですよね。父親が娘に思う気持ちって。うんうん。と一人うなづいておりました。
でも本当に一緒に飛び降りるとなると、残される奥さんや他の子供たち(いれば)も、これまたつらいことになるだろうなぁ。
(カミサン注:奥さんってもういないんじゃなかった?)
あぁ。物語のどこにピントを絞って感情移入しても、自分ならどうする。という結論は出ない。
すべてが究極の選択を迫られているような…。

観劇の後、つい最近ですが、伯母が亡くなりました。
お通夜の夜、線香番をしながら、ふと美津子の気持ちを思ってみたりもしました。
毎日死ぬのを見ることで、いつまでもかかわっていられる?そんなことが、お互いにとって良いことなのか?
そう考えれば、良い訳がないことは、わかっています。
伯母の古いアルバムをめくりながら、彼女の人生を思いました。
そして、死ぬのを繰り返したところで、人生が続く訳ではないことを、実感として感じました。
いくらつらくてもやはり美津子は、千恵子の死について、真正面から向き合わなければならない。
千恵子の人生、一生、寿命。
そのままを受け止めることが、本当の愛情(異性間以外でも)なのではないでしょうか。
改めて、死を受け入れることの難しさを、深く考えさせられました。

何か…しんみりした感想ですみません(汗)。
今回は、イブシ銀な御所河原さゆりが、物語の重さ(暗さではなく重量感)を、とてもよく引き立てていたように思います。さすが。
何度新幹線チケット代出しても観たい、素晴らしい公演でした。


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