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Vol.43 僕と真夜中の僕 座キューピーマジック [座キューピーマジック]

例の地震で、昨年末の『黒サンタ』は行けませんでした。
あれから半年、今まで子供を置いて、カミサンと出かけることはせず、必ずどちらかが子供と一緒にいるようにしていました。
リスク分散(すみません理数系なもので)ってところでしょうか。
もし何かあったら…というのがいつも頭から離れません。
いや、行けなかった訳ではないのです。
行く気になれなかった、というか、家を離れることが怖かった、と言ったところが本当でしょうか。

とはいえ、キューピーのない生活に耐えられるはずもなく。
今回は今まで観たことのない演目ということもあり、我慢できずに行ってきました。
いつもご一緒する友人は、ウチより強烈に被災されているので、今回はお誘いしませんでした。
駅前劇場の階段から携帯でメールすると、ライフラインの管理がお仕事な彼は、あの地震からずっと不休で働いている模様。
体に気をつけて、というか、お願いだからたまには休んでください。

てなことで、久しぶりなキューピーマジック。
あの地震を経験した後で自分の心がどう変わったのか、キューピーを透せばそんなことも見えてくるかもしれません。
いつもながら長い前置きですみません(汗)。

観終わってまず感じたのは「何か懐かしい感じ」でした。
演目が、ではなく、劇団の印象がそう感じました。
よくよく思い出すと、ちょうど私が初めてキューピー(四人姉妹でした)を観た時と同じ印象なので、そう感じたようです。
バランスのいい劇団、その時も今回もそんな印象です。
確かに若手が主役でってのも一緒なので、特にそう感じたのかもしれませんし、配役がそれぞれイメージにぴったりなのも一因かもしれません。
一人一人がとてもいい味、というか、いい存在感を出してました。
みんな「地でやってるでしょ」と思わせる、これって一見地味でも、実は大変なことではないでしょうか。

ここ最近とっても高品質な芝居を観せてくれるキューピーですが、何か少し気負っているというか、全力投球というか、いっぱいいっぱいという感じもしてました。
今回はそれが、落ち着いた感じというか、肩の力が抜けた感じというか。
例えると、昆虫が脱皮をしてみるみる大きくなってきたのがここ数年。今回は脱皮をした昆虫が体が固まるのを、あるいは羽が乾くのをじっと待っている、そんな感じでしょうか。
もしかしてキューピーは脱皮した新しい体に力が行き渡るのを待ってるのかな、そんな印象を持ちました。

皆さんが気にする主役の滑舌ですが、以前と比べてだいぶよくなっていて、努力の跡はうかがえます。
老婆心で言わせていただくと、彼の場合は滑舌が問題なのではなく、それを恥ずかしいと思う気持ちが台詞や表情に出てしまうのが問題かと思います。
滑舌が悪かろうが何しようが、自信を持って自分の言葉で話せば、もっと良くなるのになぁ、と思います。
私も滑舌にコンプレックスがあるので、彼の気持ちはよくわかります。
応援しますので更なる精進に期待してます。

さて今回は初めて観る演目。
観ててなぜか「これって私のこと描いてる?」って思いました。
何だか私のために書かれて私のために演じられているような、そんな気がしました。
自分のシチュエーションとは全く違うし、そんな訳ないことはわかっているんですが。
気分的には、とても贅沢してるような、くすぐったいような、そんな感じでした。
きっと、私が若かりし頃(笑)の、夢ややりたいことと田舎や家族のこととの板挟み、そんなところがそう思わせたのかもしれません。
このままでいいわけがないことはわかっている。じゃあ諦めて田舎に帰るのか。でも自分の可能性を信じたい。じゃあ両親はどうするのか。田舎に帰るって本当は自分から逃げるってことじゃないのか。じゃあこの先このままで本当にいいのか。
そんな自問自答を延々と繰り返す毎日。
田舎から上京してきた人間は、みんな同じように感じるんでしょうか。
ずっと生まれた場所で生活している人は、この芝居を観てどう感じるのでしょうか。

「夢をあきらめるな」とか「生まれてきたからには精一杯生きろ」というメッセージを感じた人もいるでしょう。
でもなぜか私は「子供が親離れして本当の意味で独り立ちする物語」がその根底ある…そんな感じを受けました。
さらに言うと、そんな物語を父親的視点で息子に贈る、エールみたいなものを感じます。

謎の青年の正体にはちょっと予想外で驚きました。
そうきたか!って感じ。
消えていく時に、あれほど苦しまなくても、って気もします(カミサンも同意見)が、この世に未練もあったりするのでしょうから、しょうがないのかな。
観ててとてもせつなくなりました。
(最近、「親の眼」で観てますね、きっと)

最後で、伸也がバイトに出かけるシーン。
上京してから5年。ようやく伸也が自分の力で自分の道を歩き始める。
希望あふれるラストシーンでした。
私は絶望して田舎に帰って来ちゃったクチ(爆)ですが、しっかり(ちゃっかり)元気はもらってきましたよ。
皆さんはいかがでしたか。


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