唐変木3 [思ひ出ぽろぽろ]
『唐変木1』と『唐変木2』の続きです。
明けて月曜日。
またまた美術室の入り口でおせっかいがおいでおいでをする。
「聞いたよ。デートしたんだって?」
げっ、何で知ってるの?あっそうか彼女がしゃべったんだ。
初デートで話した内容の一言一句をみんな知っているわよ、とでもいうような光を放つ、おせっかいの目を見ながら、女の子ってなんておしゃべりなんだろうと感じて、また少しがっかり。二人だけの秘密とまでは言わないけども、何だかちょっと裏切られた気分でした。
「電話くらいしてあげなよねぇ♡」
おせっかいはそう言うと、ワタシに電話番号を書いたメモを渡して去っていきました。
はぁ、付き合うってのは、そういうもんですか…。
とりあえずその日の夜。
晩ご飯を食べた後、家族の隙をみて、彼女に電話をかけてみました。
「もしもし」
出たのは父親(汗)。
しゃーない。ここはハラをくくるしかない。
「夜分遅くすみません。ワタシ○×高校のGEN11と言います。ボブ子さん(仮名)はいらっしゃいますか?」
「…今お風呂に入っています」
娘に電話を取りつがないための口実か、それとも本当にお風呂に入っているのか、微妙な雰囲気。
どうしよう…。一瞬躊躇したワタシでしたが、結局は引き下がるしかないと判断。
「それでは電話があったことだけ伝えて下さい」
ま、とりあえず電話はした。これで文句は無いだろう。…誰が?
受話器を置いたワタシの手のひらには汗がびっしょりでした。
はぁ…、オレって何やってるんだろ?
次の日、いつものように美術室の窓から外を見ていると。パーマをかけた彼女が、渡り廊下を友達と笑いながら歩いているのが見えました。
「電話があったことは、知らないんだろうな」
と思いました。
そりゃそうだろうな、とも思いましたが。
ワタシの前ではいつも、はにかんだような顔をしていた彼女。髪型の変わった渡り廊下の彼女は、はじけるような笑顔をみせて、まるで別人のようでした。でも、ワタシはボブの方が好きだった。
ここで初めて、あぁあの時「パーマはやめとけ」って言えば良かったんだ、と気づきました(汗)。
遅い、あまりにも遅すぎです。
初めて見る彼女の屈託のない笑顔と、それをただ見つめるだけのワタシ…。なぜかこの時、裏切られたような、悔しいような、寂しいような、そんな気持ちを感じました。そして、口の中に広がった苦々しいものを噛み締めながら、いつまでも彼女の姿を目で追い続けているワタシでした。
「もういやだ…」
やっぱり女の子と付き合うのって面倒くさい。彼女に対する気持ちが一瞬で引いていくのがわかりました。そしてその後、あんなに一生懸命だったおせっかいが、なぜかぱったり美術室に来なくなったこともあり、それ以来、彼女と話をすることは一度もなく、卒業を迎えたのでした。
一ヶ月にもみたない、ワタシと彼女の恋愛ごっこ。そう、ごっこ…。
恋愛などと言うには、まだまだワタシには早すぎた。今考えると、子供だったんだなとつくづく思います(汗)。彼女には、辛い思いや悲しい思いをさせたんでしょうね。どれだけ彼女を傷つけたんだろうか?と今になってよく考えます。
でも当時は自分のことだけで、彼女の気持ちなんて考えていなかった気がします。自分が嫌い、と言っていたわりには、自分本位でしかないワタシ。なんてオバカだったんでしょう。
きっとワタシみたいな、こんなヤツを「唐変木」って言うんですね。
〜 完 〜
ドラマチックな展開も無くてすみません(爆)。
結局何を書きたかったのか、よくわからんようになってしまいましたが、せつなさの奥にしまい込んであった、ワタシの初デートにまつわるお話でした。
明けて月曜日。
またまた美術室の入り口でおせっかいがおいでおいでをする。
「聞いたよ。デートしたんだって?」
げっ、何で知ってるの?あっそうか彼女がしゃべったんだ。
初デートで話した内容の一言一句をみんな知っているわよ、とでもいうような光を放つ、おせっかいの目を見ながら、女の子ってなんておしゃべりなんだろうと感じて、また少しがっかり。二人だけの秘密とまでは言わないけども、何だかちょっと裏切られた気分でした。
「電話くらいしてあげなよねぇ♡」
おせっかいはそう言うと、ワタシに電話番号を書いたメモを渡して去っていきました。
はぁ、付き合うってのは、そういうもんですか…。
とりあえずその日の夜。
晩ご飯を食べた後、家族の隙をみて、彼女に電話をかけてみました。
「もしもし」
出たのは父親(汗)。
しゃーない。ここはハラをくくるしかない。
「夜分遅くすみません。ワタシ○×高校のGEN11と言います。ボブ子さん(仮名)はいらっしゃいますか?」
「…今お風呂に入っています」
娘に電話を取りつがないための口実か、それとも本当にお風呂に入っているのか、微妙な雰囲気。
どうしよう…。一瞬躊躇したワタシでしたが、結局は引き下がるしかないと判断。
「それでは電話があったことだけ伝えて下さい」
ま、とりあえず電話はした。これで文句は無いだろう。…誰が?
受話器を置いたワタシの手のひらには汗がびっしょりでした。
はぁ…、オレって何やってるんだろ?
次の日、いつものように美術室の窓から外を見ていると。パーマをかけた彼女が、渡り廊下を友達と笑いながら歩いているのが見えました。
「電話があったことは、知らないんだろうな」
と思いました。
そりゃそうだろうな、とも思いましたが。
ワタシの前ではいつも、はにかんだような顔をしていた彼女。髪型の変わった渡り廊下の彼女は、はじけるような笑顔をみせて、まるで別人のようでした。でも、ワタシはボブの方が好きだった。
ここで初めて、あぁあの時「パーマはやめとけ」って言えば良かったんだ、と気づきました(汗)。
遅い、あまりにも遅すぎです。
初めて見る彼女の屈託のない笑顔と、それをただ見つめるだけのワタシ…。なぜかこの時、裏切られたような、悔しいような、寂しいような、そんな気持ちを感じました。そして、口の中に広がった苦々しいものを噛み締めながら、いつまでも彼女の姿を目で追い続けているワタシでした。
「もういやだ…」
やっぱり女の子と付き合うのって面倒くさい。彼女に対する気持ちが一瞬で引いていくのがわかりました。そしてその後、あんなに一生懸命だったおせっかいが、なぜかぱったり美術室に来なくなったこともあり、それ以来、彼女と話をすることは一度もなく、卒業を迎えたのでした。
一ヶ月にもみたない、ワタシと彼女の恋愛ごっこ。そう、ごっこ…。
恋愛などと言うには、まだまだワタシには早すぎた。今考えると、子供だったんだなとつくづく思います(汗)。彼女には、辛い思いや悲しい思いをさせたんでしょうね。どれだけ彼女を傷つけたんだろうか?と今になってよく考えます。
でも当時は自分のことだけで、彼女の気持ちなんて考えていなかった気がします。自分が嫌い、と言っていたわりには、自分本位でしかないワタシ。なんてオバカだったんでしょう。
きっとワタシみたいな、こんなヤツを「唐変木」って言うんですね。
〜 完 〜
ドラマチックな展開も無くてすみません(爆)。
結局何を書きたかったのか、よくわからんようになってしまいましたが、せつなさの奥にしまい込んであった、ワタシの初デートにまつわるお話でした。
ああ、青春ってそんなものですよね!
ボブ子を傷付けたかもしれないけど
それも青春の思い出です(*^(エ)^*)b
そしてもう数年経てば、GEN11さんちのお嬢さんが
それと似たような青春を迎える件。
by ぽむ (2009-12-09 20:56)
ぽむさん
ほろ苦い…というか、やっぱり「切ない」と言ったほうがぴったりきます。
思い出すと胸がキュンとしますね。
話たことや行動は細かく覚えていませんが、その時々の感情はそっくりそのままよみがえってきます。
娘もそのうち…(汗)。
by GEN11 (2009-12-10 12:23)
アキオさん
いつもありがとうございます。
by GEN11 (2009-12-14 18:08)