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豆Vol.10 ルームメイト 座キューピーマジック [座キューピーマジック]

キューピーマジックの豆キューピット公演『Vol.10 ルームメイト』を観に行ってきました。
個人的には豆キューピッ「ド」なんじゃないかと思うんですが、公演ハガキの表記を尊重して豆キューピットということにします。
が、長いので以後「豆公演」と記します(汗)。

さてさて、その豆公演が帰ってきました。
11年ぶりだそうです。
前回は2005年『豆Vol.9 シオン』でしたもんね。
月日が経つのは早いもんですね〜。
もともと豆公演とは、若手主体の実験的公演、といった位置付けでした。
今回も若手が中心となって行うとのことでしたが、ここ何回かの豆公演は実験的というよりも本公演により近い、仕上がった形での公演が続いていました。

今回も楽日のマチネ。
ダブルキャストのAパターンでした。
メンツは、課題持ち込みの女子高生姉と、宿題ナニソレオイシイノ厨房弟と、ワタシの3人です。
チケットは最初4枚でお願いしてたのですが、カミサンが仕事で脱落し、1枚キャンセルしてしまいました。
道中、渋滞の可能性もあるので早めに出発。
渋滞もなく順調に着いたので、結構余裕を持ってお昼ご飯を食べられました。

今回の劇場は、初めての場所。小劇場「楽園」です。
会場入りしてみるとビックリ。
客席がくの字になってます。
四角い会場の二方向に客席が並んでいるんです。
芝居を見ながら、観客の顔が見える。
役者と客席が相対さない、というのは初めての経験でした。
始まる前は、芝居に集中できないかな〜って心配でしたが、始まってみるとそれほど苦じゃなかったですね。
ふと素に戻って、他のお客さんの反応はどうかな?なんて気をもんでみたり。
それはそれで珍しくも楽しい体験でした。

前置きはこの辺で。
以下ネタバレあります。
ご注意ください。





「ルームメイト」という演目は、本公演を入れて今回3回目の観劇です。
キューピーマジックはどれも好きな演目ばかりですが、「ルームメイト」はその中でも特に大好きな演目です。
あらすじはもうわかっているので「え?そっそうなの?!」みたいな驚きはありません。
でも、思わず入り込んじゃうんですよね〜。
脚本的にはやはり何度も公演を重ねているだけあって、よく練られてわかりやすくなっているように感じました。
初見の子供たちが「???」から「!!!」と変わる瞬間を隣で感じて、ワタシもうれしかったです。

とはいえ。
やはり若手メインだけあって多少力が入り過ぎな印象を受けました。
あれだけ小さい劇場なんだからもっともっと力を抜いてもよかったかも。
豆公演なんだから思い切って極端に、つぶやくくらいの声量でも聞こえると思いました。
時間的には真夜中のシーンが多いんだしね。
もっとひそひそ声でもよかったんじゃないかなぁ。

感情の幅というのか、力を入れるところと抜くところのギャップ、をもっと大きく取ってもらうと、感情の振り幅?振られ幅?が大きくなって気持ちよかったかも。
ツボは押さえても一本調子だとチョットね。
もっと押したり引いたりされたかったかなぁ。
それでもやはりキューピーらしさってのは充分にあって。
見終わってふんわりホカホカする感じは、まさしくキューピーマジック臭(においかっ!)。



これはわたくしごとですが。
最近立て続けに知り合いが脳梗塞で倒れまして。
でもみんな何とか持ちこたえて今はリハビリ中で頑張って生きています。
ただそのうちの一人はホントに危機的状況で、もうダメかと覚悟した時もありました。
公演とは直接的には関係ないっちゃないんですケド。
終盤観てて、その時のドキドキ感が蘇ってきてヤバかったです。

大きな運命の流れを目の当たりにして、なすすべもなく立ち尽くす自分。
そんなこともあってかどうか。
亜由美の「もうどうしたらいいかわからない」という気持ちが、すごくリアルに心に届きました。
何とかして葉子を救いたい、最初はそんなことも考えていたのでしょう。
でも毎日毎日飛び降りる葉子を見せられて、諦めや無力感が徐々に蓄積されていき…。
それでもやはり毎日毎日葉子は飛び降りる。
そんな1ヶ月。
「わたしどうしたらいいの?」
「だれかたすけて…」
そんな、悲痛な心の叫び、助けを求める声、がヒシヒシと伝わってきました。
それでも葉子に対しては優しい笑顔を向ける亜由美。
胸が締めつけられました。

そしてまた逆に、葉子が亜由美に向ける笑顔の下の、どうにもならない苦しい気持ちも。
明るくあっけらかんとした亜由美の恋愛話。
それとは対照的な葉子の秘めた恋愛。
亜由美の恋愛と心の中で比較しながら、葉子はどれだけ辛い気持ちを積み重ねてきたんでしょうか。
許されない恋、自分でも許せなかった恋だったんでしょう。
それでも亜由美に打ち明けられさえすれば、あんな事にはならなかったはず。
自分の死を知って、この1ヶ月の亜由美の辛さを知り、心配をかけまいと力いっぱい笑顔を見せようとして、泣き笑いの葉子。
終盤のクライマックスの二人のやりとりには胸をえぐられるようでした。

この歳になるといろいろな死と関わり合うことがあります。
何度経験しても、死を受け入れるって本当に難しいです。
それが、とても大切な人だったりするとなおさらですし、さらには自分の死なんてことになると…。
ある程度時間が解決する部分もあるでしょうが、それでも落ち着くまでは七転八倒するんです、どうしても。
そんな自分の経験と、主人公二人の心の動きが、まるでシンクロするかのようでした。

そして安定の御所河原さゆり先生。
格好いいんだよな〜。
ワタシの中では野村萬斎の安倍晴明と並び立つ存在。
今世紀最高の霊媒師。
これほどの人はもう二度と出てこないでしょう。
ホントもう「今世紀最高」を名のって良いです。
何かに打ちひしがれた時、この人に黙って背中なんかさすってもらったら、それだけでもう号泣しそうです。

豆公演とは言いながらまとまりも良く完成度の高い公演。
とっても良かったです。
Bパターンも見てみたかったな。



小劇場「楽園」は客出しスペースがなくて劇場前の歩道がいっぱいいっぱい。
そこで帰りがけに座長の田窪さんと少しお話ししました。
頑張って新作も書いているそうで、そっちもまた楽しみです。

というわけで。
今回もまた心の洗濯ができました。
皆さんはいかがでしたか。

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