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愛車遍歴8 [車]

ある時、雑誌でたまたま見かけたのが、AudiからA4が発売になる、という記事でした。それにともないAudi 80は販売終了になると。
ワタシは昔からAudiというメーカーは気になっていました。中学生の頃、Audi quattro sportと言えばラリーで大活躍していた車です。それなのに国内ではそれほどメジャーではありませんでした。ベンツやBMWの陰に隠れて日蔭の存在(笑)でした。

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画像はお借りしました


少し前まではラリーで強くて硬派なAudiだったのに、その当時はお金持ちの奥様が乗る車でした。旦那はベンツ。奥さんや娘はAudi。日本国内ではそんな売られ方をされていた時代でした。Audiは女子供の乗る車。それは販売代理店だったヤナセの販売戦略でした。
それでもワタシ的には、Audiは女子供と言うより、医者の息子、あるいは金持ちの大学生の息子が乗ってるイメージが強かったですね。quattroにスキーを積んでって感じ?だからヤナセに毒される事なく、変なイメージを持ちませんでした。
そうそう、中学生の時に読んでた弓月光の漫画「エリート狂想曲」だったかに出てくるイケメン家庭教師の友達に、難関大エリートの人達がいるのですが。この人たちがカウンタックやらアウディクワトロスポーツやらに乗ってて、ワタシとしてはすごい憧れを持って見ていたことも大きく影響したと思います。

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さらにAudiと言えば、スキーのジャンプ台を登っていくCMだったり、カーデザインに初めて空気抵抗を持ち込んだ、とか、オンロードに初めて四駆を持ち込んだ、とか。結構高性能で高品質なイメージもありました。あと安全性も。
Audi 80って、衝突時に重いエンジンが脱落してずれ落ちる慣性力を使って、ステアリングをダッシュボードに引き込み、さらにシートベルトを巻き上げて乗員をシートに引っ張る機能(今で言うシートベルトプリテンショナー)を装備していました。
そこまでするっ?高級車にようやくエアバッグが一般的になりつつあった時代。それだけで威張ることなく、留まることなく、黙々と一歩二歩と先を行く。とことん安全機能を追求するAudiってスバラシイ!
事故った時にステアリングが引っ込んじゃうんですよ!すごいですよね。カッコいいですよね!…見たことないけど(笑)。

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画像はお借りしました


そんなこんなで、知れば知るほど気になるAudi。一度乗ってみたいな〜と思っていました。
雑誌等で見ると、新型AudiのA4は結構洗練された、今っぽいオシャレなフォルム。逆に何だかワタシのイメージじゃないなぁと。それより旧型のAudi 80のほうがつるんと丸くてシンプルな感じ。旧型なら在庫を安く買えそうだし。

早速ディーラーに行ってみることにしました。
当時のAudiは、ベンツを扱っているヤナセと、フォルクスワーゲンを扱っているファーレンの二系統の販売チャネルがありました。
最初はヤナセに行ってみたんです。ひどいもんです。乗って行った車がありふれた国産車で、乗ってた人間は二十代後半の、いかにもお金持ってませ~ん的な若者だったからでしょう。まったく無視です。声もかけてもらえませんでした。屈辱的でした。貧乏人は来るなよ、という圧力がヒシヒシと伝わってきました。居たたまれずそのままワタシは一言も声を発することなくお店を後にしました。

初の外車購入!という意気込みは、しょっぱなからガツンと鼻をへし折られてしまい、くじけそうではありましたが、ダメ元でもう一方の販売店、ファーレンに行ってみました。
すると…全然違いました。好意的、ウェルカムな対応にビックリ。この違いは何?って思いました。またその時に対応してくれた営業マンが良い人で、Audiが独自販売チャネルを持ち、その人が支店長として遠くの販売店に移動するまで、ずっとワタシの担当として就いてくれました。

ただ、順調に購入に至ったわけではありません。
当初ワタシの希望する条件はAudi 80のセダンで色はシルバー。しかし、シルバーはもうすでに在庫がないと言われてしまいました。無理もありません。その時にはもうA4の販売が始まっていました。潤沢な在庫などありはしなかったのです。
80の在庫車の色は白だったか黒だったか…。A4も薦められたり。それだとちょっとなーと、その場はいったん諦めて家に帰ったのですが、その夜、営業さんから連絡が来ます。
関西だったか東海だったか…名古屋だったかな?1台だけシルバーが見つかったのです。当時はインターネットが一般に普及する直前の時代。多分あちこちの販売店に電話をかけまくったんでしょうね。ありがたかったです。

「シルバー、最後の1台です」

断る理由がありません。
ということでやってきたのが。
Audi 80 2.0E、セダン、エクスクルーシブエディション。

エディションやらオプションやらは検討する余地なし。本当はquattroが欲しかったんですが在庫はFF。これしかないのでこれしかありません。
エクスクルーシブエディションは革シートでシートヒーター付きでした。他にもUVカットガラスや木目調インパネとかもこのエディション付属のオプションだったような気がします。
後から考えると、革シート+シートヒーターは、たまたまだったけど、良いチョイス(選んでないし:笑)でした。雪国で走る車にはシートヒーター必要でしょ。腰痛にも良いしね。このオプションはその後購入する車には、すべて付けています。それくらい手放せないオプション機能になりました。

上のグレードにはV6エンジンを積んだ2.6Eってのもあります。2.0Eは所詮2リッター4気筒。非力で街中のストップ&ゴーを繰り返すようなシチュエーションではもっさりした感じでした。
でもそれが高速道路では一変。合流でグイーンと加速していくと一気に車重が軽くなっていく、と言うか、車が小さくなっていく印象です。それでいてずっしりとした重厚感。しっかりとした直進安定性。長距離走ってもまったく疲れない。さすがアウトバーンの国の車だなーと感心しました。

あと気に入ってたのはインテリアの照明。
前にも記事にしましたが、照明がみんな赤いんです。メーターから何からみんな赤い。少しオレンジがかっている感じですが。Alfaほど赤くなくて、どちらかと言うと落ち着いた赤ですね。
この赤一色のメーターが見やすく目が疲れなくて大好きでした。最近はAudiのメーターでも白基調の目盛りになってしまって残念です。

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関連記事:
 2005/01/21 『メーターの照明


さてこのAudi 80で思い出に残っていることと言えば…。
この車が来てちょうど一年くらい経ったの時のこと。

ワタシはある慢性疾患がありまして、高校生の頃から定期的に通院して検査をしてもらっています。経過観察ってヤツですね。当時はまだ発症はしていなくて、いわゆるキャリアーと呼ばれるものでした。
その日もいつものように検査がありまして病院に行きました。たまたま母も検査があって別にカミサンの車で来てたんだったと思います。ワタシはワタシでAudi 80で来て、まず採血してから診察に呼ばれるのを待っていました。
しばらく待合室で待っていると、なぜか名前を呼ばれる前に、主治医が出てきて困った顔で言いました。

「今日は帰れないからね~」

最初何言ってるのかわかりませんでした。
今日は病院が混んでて待ち時間がかかるってことかな?と思ってました。
すると今度は看護師さんが慌てて飛んで来て。

「大丈夫ですか?起きてられます?」
「これから入院手続きしますね」
「誰かお家の方とかいらっしゃってますか」

…は?ですよ。
どしたの?何があったの?
周りは超慌ててるけど、自分だけポカーン、でした。

「とりあえずコレに」

と持ってこられたのが車椅子。
全然どこも何ともなく、普通どおりなワタシでしたが、倒れられたら困るということで、無理やり車椅子に座らされました。
車椅子で廊下を看護師さんに押され、カミサンと母を探し当てると、二人とも当然ながら驚きの表情。
家族三人がそろったところでようやく説明を受けました。

血液検査で異常な数値が出た。
普通なら立っていられないような悪い値。
今日はこのまま入院して明日から精密検査。

主治医の「今日は帰れないからね~」というのはホントの話だったんですね。青天の霹靂ってこういうことを言うのでしょうか。その後は検査と治療で「今日は」どころか一カ月近くも帰れませんでしたケド。
たまに病院の玄関から外を見ると、駐車場にポツンと停まったAudi 80が、とてもさびしそうに見えました。この車を思い出すとまず最初に出てくるのは、その時の病院の駐車場に停まっている風景なんです。
…って。それが車の思い出かよっ!(笑)

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画像はお借りしました



うーん。あと憶えていることはね…。
そうそう。集中ドアロック。

普通の車のドアロックは電磁式で、ガチャ!とかバシャ!とかいって動作します。今の車もみんなそうですよね。ところがAudi 80のドアロックって空圧式なんです。珍しいですよね。なかなか他では見たことがありません。当時の外車では普通だったのかは知りませんが。
ドアの窓のところにドアロックの棒が立ってるんですが、リモコンで操作すると、その棒が音もなくスーッと下がったり上がったりします。結構笑えます。
これ、駆動するエアー圧がなくなってくると、トランクのあたりからポコポコ音がするんです。この圧縮機の音がちょっと可愛いと言うかおまぬけと言うかでさらに笑えます。

ところが長期間車を停めてたりするとエアーが完全に抜けてしまって、リモコンを操作してもドアロックが動かない。しょうがないので結局キーを使ってドアを開ける、なんてことも頻繁にありました。
あんまりキーでばかりドアを開け閉めしてると、キーシリンダーが抜けちゃったこともありましたね。ま、そんな時は笑って助手席側から乗り降りすると(笑)。

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いろいろ細かい不調はありましたが、このAudi 80 2.0Eはとても気に入った車でした。次の車に買い替える時もAudi 80はカミサンに譲り。それがまたワタシに戻って。その後は甥っ子に譲り。最後は彼が古いBMW518iに買い換えるまで、ワタシの目の届く範囲でずっと活躍してくれました。


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