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鉄馬と書いてバイクと読む [車]

ウチの親父が亡くなってもう丸6年経ちました。
コロナ騒ぎが本格化する前に7回忌の法要を終えられてよかったです。
が、さすがにお盆はこの状況なので、一人暮らしの娘は帰省も墓参りもできず。
オンラインでのお食事会が精一杯でした。

関連記事:
 2020/08/16 『オンライン帰省


さて実はウチには親父が生前乗ってた原付三輪スクーターが残っています。
三輪と言っても今時の前二輪後一輪のカッコイイ三輪ではありません。もう20年も前の機種です。
最近はこのタイプの三輪スクーターも少ないらしく、親父が亡くなった後、売ってほしいという人もいたのですが、何となく形見のような気がして、売らずに今も車庫の中です。



20200821a.jpg
写真はお借りしました


この機種って、荷台がサドルから後ろに突き出たタイプで、自分と荷物が一緒にバンクするため、長い荷物などを載せる際はサドル側にオーバーハングできて、使い勝手がとても良いのです。
また、ボディと後輪間にサスペンション的なものがあり、荷物に走行ショックが直接伝わらないのも利点です。

こんな感じで、バンクがカッコイイ!
20200821b.jpg
写真はお借りしました



生前、販売店から新しいタイプに買い換えを勧められても手放さず、なぜか頑なに乗り続けてきた親父。
お金がなかった、ということもあるでしょうが、よほど気に入ってたんだと思います。
でも、後に亡くなるきっかけとなったのが、この三輪での自損事故だったのは、何か因縁というか、運命みたいなものも感じますね。

IMG_6377.jpg

ヘッドライトやウインカー上部がアスファルトで削られてる。
三輪なのにどんな体勢でコケたのか…。
親父はこの事故で頭を打ち(ヘルメットは割れてた)5年ほど入退院を繰り返した後、静かに息を引き取りました。

関連記事:
 2014/11/16 『亡くしてみて初めてわかること


その後この原付三輪はワタシも何度か農作業で使ったりもしたんですが、そのうちに車庫の中で荷物に埋もれていき、触ることもなくなって、しばらく時が流れてしまっていました。

今年は7回忌だったこともあり、何となく7月の連休にエンジンをかけてみようと思いつきました。
さすがにバッテリーは死んでいたので、バイク屋さんで新品を買ってきて交換しました。
バイクのバッテリーって高いんですねー。
3万円弱もしましたよ。あんなにちっちゃいのに。
当然ガソリンも古いので、ポンプで抜いて、新しいガソリンを補給しました。

でも、エンジンはかかりませんでした。
それから何日も何日もあちこちいじってはみたものの。
何十回何百回キックしようが(セルありません)プスリともいいません。

さすがのワタシも万策尽きてしまいました。
もうダメか、って。
自走できないから、廃車にするなら販売店に取りに来てもらわないとな、もうお盆休みだろうから連絡するのはお盆明けかな、とか考えていました。


ところが、お盆になって。
ふと思いついて、試しにキックしてみると…。

一回目。
「ぶるるん…」

え?ん?
なに?かかりそうじゃん?

二回目。
「プスプス…」

ありゃ?
やっぱりダメかな?

三回目。
「ブルルン!ブルルルルルルー」

おわっ!
かかっちゃったよ!
何だ?なぜだ?
あんなに手を尽くしてもかからなかったのに。

頭をよぎるのは。
「親父がお盆で帰った来たからか?」


軽やかなエンジン音を響かせながら嬉しそうに佇む姿。
まるで、飼い主をずっと待っていた忠犬ハチ公…あるいは。
あの世から親父を乗せてやってきたばかりの精霊馬ならぬ精霊鉄馬?精霊バイク?のようにも見えました。


長く愛せば機械にすら魂が宿る。
…とでも言うのでしょうか。
お盆にぴったりなお話でした。

「いちごさけもうした」
*現代語訳「一期栄えました」
 一生幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし



後日談:
その後、お盆が過ぎてもエンジンはかかるので。
親父が乗って来たと言うよりは、お盆に親父が帰ってきて直していった、あるいは、持ち主に会えた嬉しさで自力で直った、というほうが近いのかもしれません。

機械と言えども長く使ってくれた人のことをいつまでも憶えている。
…というお話でした。

「なべのしたがりがり」
*現代語訳「鍋の下、ガリガリ」
 ネズミが鍋をかじるような遅い時間になりました。今日のお話はこれでおしまい




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