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無欲のエネルギーそれがソウル(魂) [本・音楽]

少し前まで、瞽女(ごぜ)という人たちがいました。瞽女とは、眼の不自由な女性が三味線を持って家々をまわり、玄関先で唄や演奏を聴かせる門付け(かどづけ)を生業とする人のことです。昔は日本中に存在したようですが、少しずつ減っていき、越後瞽女を最後に今はいらっしゃいません。(唄や演奏を引き継いでいるかたは存在します)

先々週、本社からの出張者と、たまたま瞽女の話題になりました。
ワタシの母親の実家では、よく瞽女を泊めていたらしく、子供心に「怖い」と思っていたそうだ、なんて話をしたんです。母親は今年米寿ですから、かれこれ70年ほど前になるのでしょうが、今でもその「怖さ」はトラウマになっているようです。

そんな話をした数日後、その本社の人から連絡がありました。
なんだろうと思っていると、どうも近くの美術館で瞽女の写真展をやっているようだ、とのこと。東京に帰る前に知ってたら行きたかった、と残念がっていました。折角教えてもらったし、何か運命と言うか、因縁めいたものも感じたので、日曜日にカミサンを連れて観に行ってきました。

以下、本社のかたに送った感想メールの一部を転載します。

chirashi_omote.jpg

ついほんの最近まで瞽女がいたという事実に驚き。
芸の道に生きることの厳しさを垣間見。
それしか生きるすべがない人たちの苦しみを思い。

何だかずっと重い荷物を背負った気分で会場を回ってきました。(カミサンも一緒に行きましたが、途中で体調崩して倒れてました。それくらい観る側に負担を強いる展示でした)

帰り際には瞽女唄のCDを流してもらえて、思わず聴き入ってしまいました。やはり、風雨の中を持ち歩いた三味線の音はひどいもので、細竿の繊細さはみじんもなく、弛んだ皮はボヨンボヨンという音色でした。まるで浄瑠璃とか琵琶?、みたいな感じ。まあ実際そうでもないと、あっという間に皮が破れてしまいますもんね。
それなのに…めちゃくちゃソウルを感じました。

今まで、地吹雪を渡って鳴り響く津軽三味線の、ビンビンに張り詰めた音色を想像することがよくあったのですが、そのイメージというのは「最近の」「人工的な」「綺麗に飾りつけられた」三味線の音色なんだな、ってことに気づきました。
門付けの三味線の音の、何と言うか…凄まじさ、凄みは、コンクールや演奏会で聴く津軽三味線では遠く足元におよばない、と言うか、比べようのない、まったく別次元のものでした。門付けは、もはや音楽と言うものではなく、生きるための魂の叫びなんだ、って思いました。
…なんかうまく言えません。


こんなつたないワタシの感想でも、彼には伝わったようでした。
そして、こんな言葉が返ってきました。


かたちのないものは確かにあって、それこそが全てだって、ようやく意味がわかった気がする。沢山の先人も同じことを言い残しているわけで…このかたちのない無欲のエネルギーを、無理矢理例える言葉があるとするなら、それが、ソウル(魂)ってことになるんだと思います。


深い、深すぎる…。
ワタシが、何日かかっても、何文字かけても、表わしきれない心のもやもやを、ほんの数行で端的に的確に表現してしまう。さすが(元)アーティストw。ワタシが最もリスペクトするお方だけあります。



ちなみに映画もあるようです。
こちらもかなり興味があります。
ぜひ観に行きたい。

20220709212553.jpg
映画『瞽女 ~GOZE~』



タグ:瞽女 三味線
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