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CHAdeMOとi-mode [車]

EV界の課題と言えば、一番はやはり高速充電インフラが他国に比べて非常に遅れていること。これにつきますね。
そもそも、世界初のEV高速充電規格が日本のCHAdeMO規格だった(過去形w)わけですが、その世界初というところにあぐらをかいて、規格の進化などそっちのけで既得権益をむさぼり続けた結果、他の規格にどんどん遅れを取り、現在世界的な流れはテスラのNACS規格に統一される方向に進んでいます。今やCHAdeMO規格は実質上日本国内専用規格に成り下がってしまいました。
特に40代以上の方には通じると思いますが、四半世紀前の携帯電話の規格だったi-modeと同じ状況と言えばご想像いただけると思います。CHAdeMO規格はすでにガラパゴス化が決まったも同然です。昔の携帯電話が現在はガラケーと呼ばれるように、このままでは日本のEV充電規格CHAdeMOは、近い将来ガラ充とかガラCHAなどと言われることになるのかもしれません。

すでに全米や欧州で統一されつつあるNACS規格と日本専用CHAdeMO規格では何が違うのか、充電能力を比べてみると…。
現在日本でのNACS規格の最大充電速度は250kW。対するCHAdeMO規格は最大150kWです。こう言うと多少遅いくらいじゃんと思われそうですが、CHAdeMO規格の150kWの急速充電器は、今調べたら国内に40機のみ。国内の全CHAdeMO急速充電器の0.5%でしかなく、ほとんど存在しないレベルです。今現在の日本国内の高速充電インフラ状況を見ると、CHAdeMO規格は未だに50kW機が主流なのです。実質的にNACS規格の1/5の充電速度ということです。
最近ようやく90kW機がぼちぼち増えてきましたが、その90kW機は①15分しか最大速度が出ない、②複数コネクタがあっても同時充電台数が増えると出力が割り勘される、③ケーブルがめっちゃ固くて重くて大の男ですら片手で取り回しが出来ない、という三段逆スライドの残念仕様です。


そしてCHAdeMOの問題点は充電速度だけではありません。CHAdeMO充電器には充電速度問題に加えて、30分縛り問題と、時間課金問題という、二重三重の問題もあります。
30分縛り問題というのは、1回の充電は30分までというルールです。自分が希望する充電量にならなくても、30分で勝手に充電を終了するということです。
大容量バッテリーを積んだEVをフルフルで充電しようとすると、現状CHAdeMOの50kWごときでは充電器を長時間占有することになるので、各充電スポットに1台しかないことの多い日本では充電待ちが頻発してしまいます。そこで充電時間を最長30分で区切り、もしそこで充電待ちの車がいたら充電量が足らなくても交替しましょうというわけです。
背に腹は代えられない回避策なのでしょうが、本来ならもっと高速な充電器にすれば良いわけです。その努力もせずに、ただ単に充電器の性能の低さを、ユーザーの我慢と互譲の精神で補填する仕様なんですよね。
何か「欲しがりません勝つまでは」「贅沢は敵だ」みたいな、昭和な臭いがぷんぷんします。

そしてもう一つの時間課金問題というのは、充電料金についてです。現在の急速充電は充電している時間に応じて課金されています。これの何が問題かと言うと。
例えば、日産サクラの充電速度は最高30kWです。30分間充電すると単純計算で15kWh充電されます。対してワタシのe-tronの充電速度は120kWですので、30分間で60kWhの充電量となります。サクラの15kWhとe-tronの60kWhでは4倍の差がありますが、時間課金なのでどちらも同じ金額となります。これって不公平だと思いませんか?
本来なら充電された容量に応じて課金される従量課金であるべきですよね。ガソリンだってリッター何円じゃないですか。

…ちょっと待った。あれ?そもそもi-modeって、それまで時間単位課金だったパソコン通信にメスを入れて、パケット料という従量課金に切り込んだ、当時としては画期的な規格だったはず。
そういう意味ではCHAdeMO規格はi-mode以前。時間課金だったパソコン通信レベルってことになりますね。まだi-modeのほうがまともだったわ。


なぜこれほど日本の急速充電規格やインフラがスカポンタンなのか。それはやはり日本お得意の既得権益がからんでいるのでしょう。
CHAdeMO協議会の東電天下り会長からして、前述した複数の問題に対して「CHAdeMOは世界一の規格だし日本の高速充電器なんてこんなもんでいいっしょ(意訳)」なんて言ってやる気は全くないし、自動車販売台数世界一の某ト∋タ会長(それも自工会会長)も「車はガソリン騒音振動垂れ流さないと楽しくねーぜ!ウチの社員の雇用を守るためにロビー活動でEV普及の邪魔したるわ(意訳)」なんて言ってるんだから、推して知るべしですね。


EVに興味のない方でも、もしSAなどで90kW級の急速充電器を見かけたら、是非実際に充電コネクタを手にとってケーブルを引っ張ってみてください。あ、4口〜6口のオシャレなタイプ、15分しかフル速度が出ない割り勘90kW機ではなく、白い四角いタイプの本当の意味での90kW機で試してくださいね。
EVなんて日本には絶対普及させないぞ!という、熱意というか、悪意の重さを感じることができます。

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タグ:Audi e-tron
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