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e-tron急速充電途中終了の考察 [車]

「とろすけ」ことe-tron50が我が家に来てから、はや4か月が経ちました。
オドメーターが3,000kmほどだったのも束の間。あっという間に10,000kmを超え、今は15,000kmが目前に迫ったところです。月平均で2,500kmを超えてます。異常です…いや、いつもの調子ですね笑。

e-tronとは言え、発表は5年も前の車なので、最近のEVと比べるとやはり見劣りはします。特に充電性能は日進月歩のため、残念な気持ちになることもしばしば。
でも良いのです。Q8 e-tronなんて買えないし、Q4 e-tronは後輪駆動なんでね。ワタシが選べるAudiのEVとしては、この初期型e-tron一択なのです。それでもAudiの初EVとしては非常に出来が良いことも、特筆すべきことと思います。あのト∋タ様でさえも初EVは、言っちゃ悪いがあの程度ですからね。

しかし…。
そんなe-tronも、ん?って思うことは多々あります。ありますとも。
でもそういった諸々も含めて、今現在最も技術的に新しい、リアルタイムで急激な進化途中で、刺激的な乗り物に乗っている、という実感は、何事にも買え難い体験です。

IMG_9317.png

最近ワタシは、ある検証のため、急速充電テストコースを設定しました。その一周650kmほどのコースを、取り合えず3周ほど走り、気づいたことがありましたので、ここに公開しておきます。ネットでもe-tronの情報ってなかなか見つからないので、もし困っている人の助けになれば幸いです。

さて何の検証を行っているかというと。
ズバリ「e-tronの急速充電が途中で止まってしまう問題」です。
良い時はイイのです。何の問題もない。ところがたまに、短い時間で充電が終了してしまう現象が起きます。これが充電器によるものなのか、車のせいなのか、それとも走り方のせいなのか、何か法則性はあるのか、ずっとモヤモヤしていました。

例えば、SAやPAで30分間充電するつもりでいて、いざトイレに行って帰ってくると、まだ30分経っていないのに止まってる。よく見ると10分とか、下手すると5分とかしか充電していないことがあったりします。その時にもしすでに後続がいたりすると、さすがに改めて充電し直すわけにもいきません。そんな感じで、考えていた充電予定が崩れてしまうことが、まぁまぁありました。

あまり気になるので、いっそのこと検証用のコースを設定して、いろんな走り方をして、同じ充電器を何度も周って、検証してみようと考えたわけです。
その結果、二つの結論に至りました。
以下はEV乗りの方に向けた内容です。内燃機関車乗りの方向けには一から説明致しませんので、悪しからず。

IMG_9332.jpeg

原因1:バッテリーの温度管理

ワタシがこの現象に気づき始めたのが、春から夏に変わった頃からでした。そのため当初から、バッテリーの温度管理が原因なのかも?という気はしていました。今回色々なパターンで、走行・充電を繰り返してみたところ、ある条件が見えてきました。

・低いSoCからの急速充電は途中停止しやすい

特に、SoC30%以下から急速充電した場合は、かなりの確率で途中停止します。逆にSoC40%以上からだと途中停止はほとんどないように見えます。
e-tronの急速充電は目標80%設定でも、仕様なのか大体75%くらいまでで充電完了となります。例えばSoC45%からの急速充電だと75%まで大体30分です。この場合での途中停止は今まで1度もありません。
逆にSoCが30%を切るようなところから急速充電を開始した場合、e-tronの終了予測は30分を超える表示となりますが、実際には30分までいかずに、充電途中で停止することが多くありました。

ここからは想像になりますが、おそらくSoCが低い場合はバッテリーの熱マネジメントがOFFになるからだと思います。確かにバッテリー切れを起こさないためには必要な処理です。熱マネジメントがOFFの状態で低いSoCから急速充電を開始すると、(特に夏場は)バッテリーの温度が上がりすぎ、保護回路が働いて充電を自動終了してしまう…ということではないかと思います。
春先の頃や、雨天で気温が低い場合などは、途中停止が少ない、とも感じていますので、このこともバッテリーの温度管理が原因説を裏付けていると思います。

ただこのような温度管理は他メーカーEVでも当然あるわけですが、どうもAudiの場合はこの閾値が基本的に高めに設定されているのではないかと推察します。おそらく30%〜40%の間あたりが境目のような気がしています。ちょっと高過ぎね?って思うくらい高いです。
ただ具体的に何%以下になると熱マネジメントを停止するのか、それはわかりません。他メーカーEVのように、e-tronにはOBD2を使ってリアルタイムで内部値をモニタリングするアプリがないので(ワタシ調べ)、熱マネジメントのON・OFFの閾値を知る方法がありません。また外気温や、直前の走行状態によっても、閾値が上下することも予想できます。

今回問題にしている熱マネジメントは冷却についてのみです。冬季は加熱方向のマネジメントになるので、また変わった挙動を起こすかもしれません。もしかすると閾値については、冷却方向でも加熱方向でも変わらないかもしれません。他のe-tronGTやQ8やQ4ではこの閾値は違うと思いますが、ウチのe-tron50ではSoC40%を切らないところから急速充電するようにすることで、充電の途中停止問題は格段に減りました。
(なくならなかったのは、もう一つの原因があったからです)



原因2:CHAdeMOのバグ

上記以外でもなぜか急速充電が途中停止してしまうことがありました。予想よりも充電されていないことがあるのです。今回よくよく記録や写真を眺めていると、あることに気づきました。そもそも充電開始時からおかしかったのです。

・90kW以上の急速充電器だと充電予測時間が計算より短い

最近増えつつある90kW充電器です。他のEVと共用で充電していると出力が落ちるためか、このような現象は起きません。しかしe-tron1台だけでの充電、つまり90kWフル出力での急速充電時に、充電予測時間がなぜか計算よりも短い、ということが発生するのです。

IMG_9604.jpeg

これはSoC54%から90kWで急速充電を開始した時の写真です。二段目右に50kWと出ていますが、それはワタシのe-tron50は日本仕様で、充電速度が50kWに制限されているためです。(本国仕様は120kW)
そして、二段目中央の充電予測時間が11分と出ています。これは変です。通常ワタシのe-tron50であれば、もう少し時間がかかるはずです。50kW急速充電器での実測だと、大体16〜18分くらいになるはずなのに。

計算してみてわかりました。
この予測時間は、90kWフル出力で充電した時の予測時間なんです。
つまり車両側は50kWでしか充電できないにもかかわらず、充電時間は90kWで計算してるんですね。だから充電が終了してみると、予想している半分ちょっとの量しか充電されていない、ということが起きます。
本来SoC54%から50kWで充電する場合だと、大体20分弱の充電でSoC75%までにはいくだろうと思うわけです。ところが実際には、10分で充電が停止するのでSoCは67%までしかいきませんでした。充電開始のSoCが高めだったのでわかりづらいですが、計算してみると大体いい線いってます。
CHAdeMO充電器、あるいはワンチャンAudi側のバグかもしれません。

IMG_9605.jpeg

ということで、長々と振り回されてきた、急速充電途中停止問題に、ようやく対処方法が見えてきました。
まずは、SoCを減らし過ぎないように次の充電予定を立てること。
次に、50kWを超える急速充電器で充電する場合は、スペックの5.6掛け程度の充電量として計算すること。
これで、充電量や充電時間に見込み違いがなくなりました。
まぁ2番目については、レトロフィットキットの適用で、充電速度120kW対応になってしまえば問題なくなるので、それまでの辛抱です。(150kW急速充電器ではまた同じことが起きる可能性大w)

みなさんのe-tronはいかがですか?


タグ:Audi Audi e-tron
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コメント 2

nal

面白い!
移動ツールというより遊び道具みたいです笑。
検証ご苦労様です、ワタシには関係ないのにちゃんと読んでしまいました。欧州車だとOBDポートからコンピュータの設定値を変更する事をマニアはよくやってると思うのですが、そこに熱管理の閾値設定みたいなのは無いんですかね?
と、なんか色々と考えちゃいました。
by nal (2023-10-24 12:22) 

GEN11

nalさん
そうなんです!ほとんどゲームの延長なんですよw。トラブル含めいろんなことがあるのですが、困るというより何か楽しさを感じます。
OBDeleven2を持ってはいますが、設定項目の数が膨大にあって…そっと閉じました笑。
by GEN11 (2023-10-24 14:44) 

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