見返りを期待しない善意 [ちょっといい話]
以前『奉仕ってサービスともボランティアとも違うと思った』という記事を書きました。
これに近いことを、林覚乗(はやしかくじょう)という人が「心ゆたかに生きる」という本で、『ボランティアと本当の奉仕』ということを書かれていました。
この中で非常に驚いた事があったのでご紹介。
─────
北海道に行ったときのことです。講演依頼された会社の方が北海道新聞の切り抜きをくださいました。ある中年の男性の投書なんですが、こんな内容でした。
終電車の発車間際に飛び乗ったとき、乗車券は車内で買ってくださいというものですから、車掌さんが回ってきたときに財布を出そうとすると財布がなかった。小銭入れもない。どこかで落としたのだろうか。
途方にくれたけれども、そのことを正直に車掌さんに言いました。
「すみません。明日、必ず営業所まで行きますから、今日は乗せてください」
ところが、この車掌さん、よほど虫の居所が悪かったのかどうか、許してくれない。次の駅で降りろ、と言うのです。次の駅で降りても家に帰る手段はない。ホームで寝るにしては、北海道の夜は寒すぎる。
どうしようもなくなって困っていたら、横に座っていた同じ年格好の中年の男性が回数券をくれたんです。お礼をしたいからと言って、その男性に名前や住所をたずねたけど、ニコニコ手を振って教えてくれない。最後には借りたことを忘れて、なぜ教えてくれないのかと文句を言ったら、次のような話をしてくれたんです。
「実は私もあなたと同じ目にあって、そばにいた女子高校生にお金を出してもらったんです。その子の名前を何とか聞き出そうとしたけど教えてくれない。『おじさん、それは私のお小遣いだから返してくれなくて結構です。それより、今おじさんがお礼だといって私に返したら、私とおじさんだけの親切のやりとりになってしまいます。もし、私に返す気持ちがあったら、同じように困った人を見かけたらその人を助けてあげてください。そして、またその人にも困った人を助けるように教えてあげてください。そしたら、私の一つの親切がずっと輪になって北海道中に広がります。そうするのが、私は一番うれしいんです。そうするようにって私、父や母にいつも言われてるんです』と私に話してくれました」
この話に中年の男性はものすごく感激されて北海道新聞に投書されたんですね。本当にいい出会い、本当の奉仕というのは、こういうことではないでしょうか。
─────
映画好きの方は…これって?と思った方も多いのではないでしょうか。
そうです、これです。
アメリカの一人の学生が始めた、世界を変える方法というのが、まさしくこの話に出てきた女子高校生が実践していることなんですね。
林覚乗の「心ゆたかに生きる」が発売されたのが1997年ですから、実際に北海道新聞に投書があったのは、当然それよりも前です。
この映画「ペイ・フォワード」が公開されたのが2000年。
もしかして北海道の善意がアメリカに渡っていき、それが映画化されたとか?
いずれにしても、ワタシも強く共感します。
サービスとも、ボランティアとも、ペイ・バック(恩返し)とも違う。
ペイ・フォワード(見返りを期待しない善意)こそが『奉仕』の本来の形なのではないでしょうか。
(以前の記事で滅私奉公とも違うと書いたのは、奉仕には上下の関係がないって思うんですよね)
そして、この『奉仕』こそが、日本人の一番美しい部分「だった」ような気がします。
…過去形なのがとても残念ですが。
この女子高校生も素敵ですが、そのご両親もとても素敵な方なんでしょうね。
ワタシもそんな親になりたいです。
関連記事:
2006/12/03「初雪の朝に出会った薄水色のCUBEさん」
2007/07/23「バカミテーな大人を見よ」
2009/02/10「奉仕ってサービスともボランティアとも違うと思った」
2009/10/29「他人の家の前のゴミを拾うということ」
これに近いことを、林覚乗(はやしかくじょう)という人が「心ゆたかに生きる」という本で、『ボランティアと本当の奉仕』ということを書かれていました。
この中で非常に驚いた事があったのでご紹介。
─────
北海道に行ったときのことです。講演依頼された会社の方が北海道新聞の切り抜きをくださいました。ある中年の男性の投書なんですが、こんな内容でした。
終電車の発車間際に飛び乗ったとき、乗車券は車内で買ってくださいというものですから、車掌さんが回ってきたときに財布を出そうとすると財布がなかった。小銭入れもない。どこかで落としたのだろうか。
途方にくれたけれども、そのことを正直に車掌さんに言いました。
「すみません。明日、必ず営業所まで行きますから、今日は乗せてください」
ところが、この車掌さん、よほど虫の居所が悪かったのかどうか、許してくれない。次の駅で降りろ、と言うのです。次の駅で降りても家に帰る手段はない。ホームで寝るにしては、北海道の夜は寒すぎる。
どうしようもなくなって困っていたら、横に座っていた同じ年格好の中年の男性が回数券をくれたんです。お礼をしたいからと言って、その男性に名前や住所をたずねたけど、ニコニコ手を振って教えてくれない。最後には借りたことを忘れて、なぜ教えてくれないのかと文句を言ったら、次のような話をしてくれたんです。
「実は私もあなたと同じ目にあって、そばにいた女子高校生にお金を出してもらったんです。その子の名前を何とか聞き出そうとしたけど教えてくれない。『おじさん、それは私のお小遣いだから返してくれなくて結構です。それより、今おじさんがお礼だといって私に返したら、私とおじさんだけの親切のやりとりになってしまいます。もし、私に返す気持ちがあったら、同じように困った人を見かけたらその人を助けてあげてください。そして、またその人にも困った人を助けるように教えてあげてください。そしたら、私の一つの親切がずっと輪になって北海道中に広がります。そうするのが、私は一番うれしいんです。そうするようにって私、父や母にいつも言われてるんです』と私に話してくれました」
この話に中年の男性はものすごく感激されて北海道新聞に投書されたんですね。本当にいい出会い、本当の奉仕というのは、こういうことではないでしょうか。
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映画好きの方は…これって?と思った方も多いのではないでしょうか。
そうです、これです。
アメリカの一人の学生が始めた、世界を変える方法というのが、まさしくこの話に出てきた女子高校生が実践していることなんですね。
林覚乗の「心ゆたかに生きる」が発売されたのが1997年ですから、実際に北海道新聞に投書があったのは、当然それよりも前です。
この映画「ペイ・フォワード」が公開されたのが2000年。
もしかして北海道の善意がアメリカに渡っていき、それが映画化されたとか?
いずれにしても、ワタシも強く共感します。
サービスとも、ボランティアとも、ペイ・バック(恩返し)とも違う。
ペイ・フォワード(見返りを期待しない善意)こそが『奉仕』の本来の形なのではないでしょうか。
(以前の記事で滅私奉公とも違うと書いたのは、奉仕には上下の関係がないって思うんですよね)
そして、この『奉仕』こそが、日本人の一番美しい部分「だった」ような気がします。
…過去形なのがとても残念ですが。
この女子高校生も素敵ですが、そのご両親もとても素敵な方なんでしょうね。
ワタシもそんな親になりたいです。
関連記事:
2006/12/03「初雪の朝に出会った薄水色のCUBEさん」
2007/07/23「バカミテーな大人を見よ」
2009/02/10「奉仕ってサービスともボランティアとも違うと思った」
2009/10/29「他人の家の前のゴミを拾うということ」
すばらしいご両親ですね・・・
それと似た話、聞いたことあります!
見習いたい行為、尊い行為ですね
甥っ子たちにも話してあげよう。
by ぽむ (2009-12-12 11:48)
ぽむさん
昔はきっとこんなことは普通にみんながやっていたんでしょうね。
少しずつでもこの意識が広まってくれると良いと思います。
アキオさん
そっとnice!をありがとうございます。
by GEN11 (2009-12-14 18:07)