Vol.67 道化師の森 座キューピーマジック [座キューピーマジック]
もう1週間も前になります。
座キューピーマジック公演『Vol.67 道化師の森』を観に行ってきました。
この演目としては7年ぶりだそう。
ということは前回はこれ『Vol.54 道化師の森』でしたね。
思い起こせば息子くんのキューピー観劇デビューでした。
えっと7年前だからいくつだ、6歳?7歳?小学1年生か。
ハァ?ヤツはそんな頃からキューピー観てるんだ。
ちょっと親の顔見てきます〜(笑)。
さて今回は珍しく他の家族は皆さん都合が悪くて…。
カミサンは仕事。
娘はセンター試験プレテスト。
息子は参観日で学校へ…って、イイのかおい(笑)!
仕方なくワタクシが家族を代表してキューピーを楽しむという大役を勤めることになりました。
参観蹴って観劇って…いいのかホント。
良いも悪いも、財布の中にはなぜか新幹線の回数券が往復分。
細工は流々仕上げを御覧じろ。
ということで後ろ髪を引かれる思いで…家族みんなに白い目で見られながら、いざ下北沢へ。
そう言えば一人でキューピーを観るのって、もしかして初めて?
さっ寂しい、寂しすぎる…。
このところ家族で行くようになってからずっと車だったので電車での移動は久しぶり。
そもそも以前下北沢に降りたのは、まだ京王下北沢駅が高架駅?地上駅?だったころ。
駅が改装して地下ホームになってから来るのは初めてです。
あれっ?もともと京王は高架のままで小田急が地下に変わったんでしたっけ?すみません田舎もので。
一人も初めて、地下ホームも初めて。
初めてづくしで何だか不安な気持ちが入り乱れ。
いやでも今回は岡野さんが出るんだし、と思いなおすこと数回。
嬉しい…でも一人は寂しい…そんな一人旅でした。
会場は下北沢の小劇場「楽園」。
前々回、豆キューピット『豆Vol.10 ルームメイト』を観たところです。
あの狭くて独特なレイアウトをどう使うのかも興味津々。
会場に着いてみると開場20分前くらいでもう20人ほど並んでいました。
ワタシもいったん並んではみたものの、チケット取り置きだしなーと思い返し、列を無視して階段を降りてみました。
階段の下には受付があり、そこで予約してたチケットを購入し、また階段を上って建物を出て列に並びました。
おそらく列には、チケット持参組、取り置き組、当日券希望組、いろんな人が混じって並んでいたように思います。
出来ればスタッフさんが階段の上で交通整理してくれると良かったのになー。
今回は土曜日のマチネでした。
なぜか結構なお歳の方が多かったように思いました。
どうしたのでしょう?役者さんの祖父母、とか?まさか、ね。
サントリーウェイティングバーよろしく、少し聞き耳を立てていると、どうも初めての方も多く…。
う〜ん、とりあえず、新たな客層の掘り起こしに成功した、ということにしときましょうか。
長い前置きはこれくらいにして。
以下ネタバレあります。ご注意ください。
開場して入ってみるとやはり「楽園」は狭いですね。
おまけに真ん中に大きな柱があり、演出も演技も大変でしょう。
今回は柱で二分された客席の間に病院のベッドが置かれてて、なるほど面白い試みだと思いました。
ほとんど客席の中に舞台が食い込んでいる感じです。
この舞台と客席の近さがキューピーの舞台の良さをさらに際立たせるんですよね。楽しみ楽しみ。
でもさすがに一人では、客席と間違えてベッドに腰掛ける、といったお約束のボケもはばかられ、泣く泣くスルーしました。寂しい…。
始まる前は舞台の狭さにどうなることかと心配していましたが、始まってみると狭さはそれほど苦にはなりませんでした。
それよりもコンパクトにまとめた最小限のセットには感心しましたね。
何と言うか等身大ドールハウス?を連想してしまいました。
さすがに何度も再演を繰り返しているだけあって、以前は、ん?って思ったような流れも、それとなく台詞の中に説明が入っていて、とてもわかりやすかったですね。
加えて、各キャラがそれぞれ個性的で、とても魅力的でした。
ただまぁ芝居ですからいろんなトラブルがあるわけで。
音楽が台詞にかぶってしまったり…。
いやぁ思わず四半世紀も前の古傷が疼きました。
その昔若かりし頃、とある劇団にスタッフを頼まれて音響効果に手を出したことがあります。やめときゃよかったのにね。
まぁ素人なんでしょうがないんですが。
一番のクライマックスでやっちゃったんですよ。
場面転換の時に前の音を下げ忘れて次の場にしばらくかぶっちゃったんです。
あん時はホント、冷や汗が滝のように流れましたね。
トラブル…。ただそれも演劇の醍醐味、と言うこともできます。
今回、舞台となる映画館のセットのドアの建て付けが悪いのが、最初から気になっていました。
案の定、途中からきちんと閉まらなくなってきて、晋平の母、美智子がハケるシーンでついに立ち往生する事態に。
ここからは多分アドリブなんだと思いますが
美智子 「あーん困ったわどうしましょう」(みたいな演技)
坂田のおばちゃん 「ふんっ」(頑張って閉めようとするが閉まらない)
ワタシ (ドキドキ…)
坂田のおばちゃん 「明日直しましょ!」
会場爆笑。拍手喝采でした。
さすがキューピーマジックの飛び道具、紅子さん。
あっと言う間に、建て付けの悪さがシナリオの一部になってしまいました。
と言うか、最初からこれ狙っての建て付けの悪さだったら、びっくりですよね。
でも、そうかも…と思わせる自然さは、リアルな演技を追求するキューピーならではだと思います。
台詞のキャッチボール万歳!
小さい頃に母親に捨てられたと思い込んでいた息子の物語なわけですが。
それにしてもこの台本、息子の気持ちが痛いほどわかります。
こんないい歳になっても、いや、なったからこそ、かもしれませんが、胸が締め付けられます。
女性から見たらどうなんでしょう。
「きもっ」
とか思う女性は多いんでしょうか。
パンフレットで座長さんが「マザコン」と書かれてましたが、世の息子たちには普遍的な感情なのではないでしょうかね。
思わず、もし自分が昔に戻って自分より若い母親に会ったら…と考えずにいられませんでした。
その昔、ワタシが中学生から高校生の頃。
2階で勉強していると、深夜を過ぎた頃、母親がそっと部屋をのぞきに来ることがよくありました。
遅くまで勉強している息子の様子を見にきた風情でしたが、特に何を話すでもなく、ドアの外からこちらを長いこと見ていました。
(何だよ、用がないなら早く寝ればいいのに)
なんて心の中で思っていた時もありました。
ところがある時気づきました。
母親の寂しそうな顔。今にも泣き出しそうな表情。
そして目の下の「青タン」に。
おそらく親父に殴られたんでしょう。
親父のいる1階にいられず、2階に上がって来てたんですね。
でも息子の部屋に入るところまでは出来ない…。
そういう時の母親には、ワタシの部屋のドアの外にしか居場所がなかったんだ、と、今となっては思います。
今、あの場所に戻れるなら、ワタシは母親に何を言ってあげられるんでしょう?
何を言ってあげたらいいんでしょう?
「40年後のあなたの息子は、ちゃんと人の心の痛みがわかる、わかりたいと思う、少なくとも親父よりはマシな大人に育っていますよ」
「何よりそれは、あなたのおかげですよ」
そんな風に言ってあげたら、あの悲しそうな顔に少しは笑顔が戻るでしょうかね。
なんのこと?意味わかんねーと思いますよね。
確かにワタシのシチュエーションと今回の演目とはまったく違いますし。
でもワタシにとってあの時代のあの部屋のあの光景とは、ふとした瞬間に時空のゆがみでつながるような気がしたんです。
自分より歳の若い母親に
「えらかったね。頑張ったね」
そう頭を撫でられ
「うん…うん…」
真っ赤な顔で、そうとしか言えない晋平を観ながら、涙が止まりませんでした。
涙がボロボロこぼれ落ちるのがわかりました。
ホント今回ばかりは一人で観に来て良かったです。ちょっと恥ずかしかったな…。
キューピーマジックっていつもワタシだけのために舞台をやってくれるんですよ。
信じられないでしょうが、本当なんです。
でも皆さんも同じように感じているのかもしれませんね。
今回もまた暖かいホカホカした気持ちで劇場を後にしました。
皆さんはどうでしたか。
座キューピーマジック公演『Vol.67 道化師の森』を観に行ってきました。
この演目としては7年ぶりだそう。
ということは前回はこれ『Vol.54 道化師の森』でしたね。
思い起こせば息子くんのキューピー観劇デビューでした。
えっと7年前だからいくつだ、6歳?7歳?小学1年生か。
ハァ?ヤツはそんな頃からキューピー観てるんだ。
ちょっと親の顔見てきます〜(笑)。
さて今回は珍しく他の家族は皆さん都合が悪くて…。
カミサンは仕事。
娘はセンター試験プレテスト。
息子は参観日で学校へ…って、イイのかおい(笑)!
仕方なくワタクシが家族を代表してキューピーを楽しむという大役を勤めることになりました。
参観蹴って観劇って…いいのかホント。
良いも悪いも、財布の中にはなぜか新幹線の回数券が往復分。
細工は流々仕上げを御覧じろ。
ということで後ろ髪を引かれる思いで…家族みんなに白い目で見られながら、いざ下北沢へ。
そう言えば一人でキューピーを観るのって、もしかして初めて?
さっ寂しい、寂しすぎる…。
このところ家族で行くようになってからずっと車だったので電車での移動は久しぶり。
そもそも以前下北沢に降りたのは、まだ京王下北沢駅が高架駅?地上駅?だったころ。
駅が改装して地下ホームになってから来るのは初めてです。
あれっ?もともと京王は高架のままで小田急が地下に変わったんでしたっけ?すみません田舎もので。
一人も初めて、地下ホームも初めて。
初めてづくしで何だか不安な気持ちが入り乱れ。
いやでも今回は岡野さんが出るんだし、と思いなおすこと数回。
嬉しい…でも一人は寂しい…そんな一人旅でした。
会場は下北沢の小劇場「楽園」。
前々回、豆キューピット『豆Vol.10 ルームメイト』を観たところです。
あの狭くて独特なレイアウトをどう使うのかも興味津々。
会場に着いてみると開場20分前くらいでもう20人ほど並んでいました。
ワタシもいったん並んではみたものの、チケット取り置きだしなーと思い返し、列を無視して階段を降りてみました。
階段の下には受付があり、そこで予約してたチケットを購入し、また階段を上って建物を出て列に並びました。
おそらく列には、チケット持参組、取り置き組、当日券希望組、いろんな人が混じって並んでいたように思います。
出来ればスタッフさんが階段の上で交通整理してくれると良かったのになー。
今回は土曜日のマチネでした。
なぜか結構なお歳の方が多かったように思いました。
どうしたのでしょう?役者さんの祖父母、とか?まさか、ね。
サントリーウェイティングバーよろしく、少し聞き耳を立てていると、どうも初めての方も多く…。
う〜ん、とりあえず、新たな客層の掘り起こしに成功した、ということにしときましょうか。
長い前置きはこれくらいにして。
以下ネタバレあります。ご注意ください。
開場して入ってみるとやはり「楽園」は狭いですね。
おまけに真ん中に大きな柱があり、演出も演技も大変でしょう。
今回は柱で二分された客席の間に病院のベッドが置かれてて、なるほど面白い試みだと思いました。
ほとんど客席の中に舞台が食い込んでいる感じです。
この舞台と客席の近さがキューピーの舞台の良さをさらに際立たせるんですよね。楽しみ楽しみ。
でもさすがに一人では、客席と間違えてベッドに腰掛ける、といったお約束のボケもはばかられ、泣く泣くスルーしました。寂しい…。
始まる前は舞台の狭さにどうなることかと心配していましたが、始まってみると狭さはそれほど苦にはなりませんでした。
それよりもコンパクトにまとめた最小限のセットには感心しましたね。
何と言うか等身大ドールハウス?を連想してしまいました。
さすがに何度も再演を繰り返しているだけあって、以前は、ん?って思ったような流れも、それとなく台詞の中に説明が入っていて、とてもわかりやすかったですね。
加えて、各キャラがそれぞれ個性的で、とても魅力的でした。
ただまぁ芝居ですからいろんなトラブルがあるわけで。
音楽が台詞にかぶってしまったり…。
いやぁ思わず四半世紀も前の古傷が疼きました。
その昔若かりし頃、とある劇団にスタッフを頼まれて音響効果に手を出したことがあります。やめときゃよかったのにね。
まぁ素人なんでしょうがないんですが。
一番のクライマックスでやっちゃったんですよ。
場面転換の時に前の音を下げ忘れて次の場にしばらくかぶっちゃったんです。
あん時はホント、冷や汗が滝のように流れましたね。
トラブル…。ただそれも演劇の醍醐味、と言うこともできます。
今回、舞台となる映画館のセットのドアの建て付けが悪いのが、最初から気になっていました。
案の定、途中からきちんと閉まらなくなってきて、晋平の母、美智子がハケるシーンでついに立ち往生する事態に。
ここからは多分アドリブなんだと思いますが
美智子 「あーん困ったわどうしましょう」(みたいな演技)
坂田のおばちゃん 「ふんっ」(頑張って閉めようとするが閉まらない)
ワタシ (ドキドキ…)
坂田のおばちゃん 「明日直しましょ!」
会場爆笑。拍手喝采でした。
さすがキューピーマジックの飛び道具、紅子さん。
あっと言う間に、建て付けの悪さがシナリオの一部になってしまいました。
と言うか、最初からこれ狙っての建て付けの悪さだったら、びっくりですよね。
でも、そうかも…と思わせる自然さは、リアルな演技を追求するキューピーならではだと思います。
台詞のキャッチボール万歳!
小さい頃に母親に捨てられたと思い込んでいた息子の物語なわけですが。
それにしてもこの台本、息子の気持ちが痛いほどわかります。
こんないい歳になっても、いや、なったからこそ、かもしれませんが、胸が締め付けられます。
女性から見たらどうなんでしょう。
「きもっ」
とか思う女性は多いんでしょうか。
パンフレットで座長さんが「マザコン」と書かれてましたが、世の息子たちには普遍的な感情なのではないでしょうかね。
思わず、もし自分が昔に戻って自分より若い母親に会ったら…と考えずにいられませんでした。
その昔、ワタシが中学生から高校生の頃。
2階で勉強していると、深夜を過ぎた頃、母親がそっと部屋をのぞきに来ることがよくありました。
遅くまで勉強している息子の様子を見にきた風情でしたが、特に何を話すでもなく、ドアの外からこちらを長いこと見ていました。
(何だよ、用がないなら早く寝ればいいのに)
なんて心の中で思っていた時もありました。
ところがある時気づきました。
母親の寂しそうな顔。今にも泣き出しそうな表情。
そして目の下の「青タン」に。
おそらく親父に殴られたんでしょう。
親父のいる1階にいられず、2階に上がって来てたんですね。
でも息子の部屋に入るところまでは出来ない…。
そういう時の母親には、ワタシの部屋のドアの外にしか居場所がなかったんだ、と、今となっては思います。
今、あの場所に戻れるなら、ワタシは母親に何を言ってあげられるんでしょう?
何を言ってあげたらいいんでしょう?
「40年後のあなたの息子は、ちゃんと人の心の痛みがわかる、わかりたいと思う、少なくとも親父よりはマシな大人に育っていますよ」
「何よりそれは、あなたのおかげですよ」
そんな風に言ってあげたら、あの悲しそうな顔に少しは笑顔が戻るでしょうかね。
なんのこと?意味わかんねーと思いますよね。
確かにワタシのシチュエーションと今回の演目とはまったく違いますし。
でもワタシにとってあの時代のあの部屋のあの光景とは、ふとした瞬間に時空のゆがみでつながるような気がしたんです。
自分より歳の若い母親に
「えらかったね。頑張ったね」
そう頭を撫でられ
「うん…うん…」
真っ赤な顔で、そうとしか言えない晋平を観ながら、涙が止まりませんでした。
涙がボロボロこぼれ落ちるのがわかりました。
ホント今回ばかりは一人で観に来て良かったです。ちょっと恥ずかしかったな…。
キューピーマジックっていつもワタシだけのために舞台をやってくれるんですよ。
信じられないでしょうが、本当なんです。
でも皆さんも同じように感じているのかもしれませんね。
今回もまた暖かいホカホカした気持ちで劇場を後にしました。
皆さんはどうでしたか。
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