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Vol.32 黒いスーツのサンタクロース 座キューピーマジック [座キューピーマジック]

今回も前回と同様、カミサンと知人と3人というメンツでした。
前回から始まったコーヒーの無料サービス。
この前の感想で『お茶がいい』とか書いたら、ありがたいことに本当にお茶も用意していただいたようでした。
今回は座席の足元が多少広くなって、劇団側の嬉しい気遣い。
でも、新幹線の都合でちょっと早めに並ぶことになるため、開場すると一番奥に座席を取ってしまうので、どうしても出にくい。
またまた申し訳ないことに遠慮してしまいました。
う〜ん、次回までに、どうやったらお茶をいただけるか、考えておこうと思う私でした。

思い起こせば『黒サンタ』は今回で4回目の観劇です。
我ながらすごいな〜と思いますが、公演自体は9回目。これはもっとすごい。
とすると私が『黒サンタ』見たのは全公演回数の半分以下ということに。
そう思うとちょっと悔しいかも。
さすがに団員の中からも「もうそろそろ…」という声も上がっているらしいです。
そういえば紅白歌合戦の小林幸子も、超大道具的衣装は2000年で終わりだし、世紀の変わり目で区切りをつけようということでしょうか。
そんな中でも私は、座キューピーマジックが『座キューピーマジック』である限り、ずっと続けていってもらいたいと思いますが、皆さんはどう思われますか?

毎年同じはずの『黒サンタ』。いや、本当に同じだろうか?
見終わった後に感じる、自分ももう少し頑張ってみようか…なんていう気持ちとか、12月で寒いはずの帰り道に、自分を包み込んでくれるあったか〜い空気みたいなものは、毎年変わらない気もします。
でも毎年去年と何か違うと感じるのはなんだろう?
そんなことを考えながら、東京に向かいました。

今回の『黒サンタ』は、なぜか自分でも不思議なくらい『由紀子』が近くに感じられました。
後で冷静になって考えてみると、以前はどちらかというと、死神側に感情移入していたような気がします。
なんであんなわがままな小娘に一生懸命なんだろう、なんていう考えがどうしても心の隅からぬけずにいたものでした。
それが今年はなぜかあのわがまま勝手さが、逆に生身の人間らしく感じました。
そのことが何を意味しているのかはよくわかりませんが、辛く悲しい現実を精一杯生きている人間と、その辛さを知るが故にどこまでもやさしい死神。そんな構図がよりはっきり観えてきたような気がしました。

なぜ死神はあんなに由紀子にやさしいのか?それは最初の『黒サンタ』観劇からずっと自分に問い掛けてきたことです。
以前はその答えとして『由紀子に惚れたから』と思っていましたが、今回の公演でそれは違うことに気づきました。
たとえば由紀子が他の人間、たとえば男だったとしても、あの死神はきっと同じ事をしたでしょう。
私はそう思います。

この戯曲は奥が深い。
時を戻してからの5年後、勇気をもらった由紀子を待っているものは、なんでしょう?
5年前がきっかけとなって、寿命そのものが変わってしまうのか。それとも結局最後は寿命がきてしまうものの、5年前のいい思い出を胸に死んで行くのか。
本当のハッピーエンドは前者ということになりますが、私は後者のような気がしています。
主役を引き受けた芝居も公演中止になることは変わらない。変わるのは死因だけくらいかもしれません。
死神の言うとびっきりのいい思い出というのは、5年前の死神との出会い自体なのではないかという気がします。
でもすくいがないとは思いません。とても暖かい人生の終焉を感じます。

やはり由紀子は死ぬ運命。それをわかっていても、時を戻さずにいられなかった死神。
最後に潔くサッと消えて行った死神。
その彼が消える際に残していったやさしい微笑みは、今思い出しても涙が出そうです。
私が死ぬ前にも、あんな死神が来てくれるといいな。
いや、毎年『黒サンタ』が観られればそれでいいや。


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