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Vol.45 ルームメイト 座キューピーマジック [座キューピーマジック]

昨年末の本公演『Vol.44 道化師の森』、そしてキューピースタジオ『Vol.1 ムーンライト・セレナーデ』と、観に行けなかったキューピーマジックの舞台。
そろそろ禁断症状をあらわしつつあるのか、最近は少し気持ちが落ち込み気味です。

ということで行ってきました、座・キューピー・マジック公演『Vol.45 ルームメイト』。
拙作サイト「あなたが一番見たい演目は?」では、最近第2位のこの演目。
わたし的にも大好きな作品です。
今回は、被災から初めてお会いするいつもの友人と、その友人ともうすぐご結婚される方(うふふ)と、ウチのカミサンと、総勢4人で突撃してきました。

初演となった『Vol.36 ルームメイト』は、私もカミサンも拝見したので、ストーリーは知っていますが、今回は主人公の二人がお互いに交代するというダブルキャスト。
両パターンを観たいのはやまやまなんですが、さすがに夜の部を観てると、帰りは午前様になってしまいます。
当日、ウチのお年寄りたちは通院の日だったので、それは実姉に付き添いをお願いして、子供たちはカミサンの実家に預かってもらうという、空前絶後、迷惑千万のキューピー観劇大作戦です。
ダブルカップルの愛の逃避行(爆)という訳にはいかず、今回も泣く泣く土曜日のマチネだけで帰ってきました。

以下、その感想です。
ネタばれありますので、ご注意ください。

前回の『Vol.36 ルームメイト』では、初演とは思えない作りの良さと、怒濤のような感情の揺さぶりで、観る人から涙を吹き出させていました。
役者が右手を上げれば涙がピュー、左手を上げれば涙がピュー。
まるで水芸を観ているかのごとく、客席からは涙と鼻水がほとばしり、飛び散っていました(笑)。
なので、今回はかなり気持ちと涙腺を引き締めて、帰る時に恥ずかしくないくらいで押さえようと心に誓い、客席に臨みました。

いやしかし、キューピーの客席に座ると、何だかホッとするのは何なんでしょうか。
もうそれだけで既に心がいやされているのかな。
条件反射?
パブロフの犬か、わたしは?

やはり思うのは、演出もさることながら、とても素質の良い、素敵な脚本だなぁということ。
うま〜く感情を誘導されて、どんどん引き込まれていく。
途中まで???って思っていたことが、あるところまでいくと!!!と一気に合点がいく。
後はもう、胸がキュ〜っとなって、涙腺決壊警報がピ〜っと鳴る。
心は慌てふためき、感情の森を右往左往。
「マジっ…マジやばっ」
そして結局、最後は「くぅぅぅ(泣)」っとなってしまう。

だから、キューっとなってピーっとなってマジっ?でくぅ〜、だから。
…だから?

いや、やめておきます。
すみませんオヤジで。
私が悪うございました。
うわっ、イタッ…物を投げないでください〜(泣)。

前に豆公演の『豆Vol.9 シオン』からふた公演とばしたため、特に感じたのかもしれませんが、若手がぐんとチカラをつけた(気持ちよくチカラが抜けた)な〜という印象を受けました。
いつものように、これ見よがしで大げさな感情表現もなく、どちらかというと控えめな、押し殺した演技の中に、生々しい人間の悩み・苦しみが、手に取るように感じられました。
美津子が喋れば私は美津子、千恵子が喋れば私も千恵子。
感情をわしづかみにされたまま、右へ左へと揺さぶられ続けます。
理性では「これは芝居だ」とわかっている。
それなのに、目の前にいる役者はなぜか役者ではなく、血の通った、本当に生きている人間そのもの。
夢の中でよく、「これは夢だ」とわかっているのに、なぜか気持ちは高ぶり、必死になっているのと似てますね。

サバサバした性格の美津子(神野恵子)と、思い詰める性格の千恵子(山口智美)。
対照的な性格の同居人二人。
最初はサバサバしている性格に見えていた美津子ですが、物語の終わりには、実はその胸の奥に熱い思いを持っていることがわかります。
そしてその美津子をなだめ、一人で逝くことを告げる千恵子。
ラストはまるで二人の性格が入れ替わったかのようでした。

自分らしさを大切に、とはよく聞く言葉ですが、自分が自分らしくいることよりも、自分が大切なものに気づくこと、それが一番大切なのではないでしょうか。
自分にとって何が大切か。それは物質ではないかもしれません。
本当に大切なものに気づいた時、人は強くも、優しくも、そして幸せにもなれる。
2回目とはいえ、息詰まる話の展開に、最後までドキドキ、手に汗握る公演でした。
皆さんはいかがでしたか。

帰り道、高ぶった気持ちを抑えるべく立ち寄った茶店で、カミサンと「夜の部も観ようか?」と冗談まじりに話していましたが、お互い目はマジ…でした。
サバサバの山口さんの演技、思い詰める神野さんの演技、観たかったなぁ。
終わってしまった今でも、観たい気持ちが後から後からわいてきます。
東京に住んでれば、毎日でも観られるのに。
田舎もんは、悔しくて眠れません。

客出しの時には、座長の田窪さんから直々にお声をかけていただき、その上、神野さんまで(パジャマ姿のまま:汗)路上まで追いかけてきて下さり、ご挨拶を受けました。
いえいえ、ありがたいのはこちらのほう。
日々の生活で、固くなっていた心が、いつの間にか柔らかく、暖かくなっている。
私が私でいるために、なくてはならない、かけがえのないもの。
この方たちの舞台は、それこそ私にとっては、とても大切なものです。
キューピーの公演を観れば、見失っていた自分を取り戻せる。
「心の恩人」とでも言うべきか。
ありがたいことです(合掌)。

書いていいのかわかりませんので、書いちゃいますが(爆)。
「そろそろ新作も期待して下さい」と田窪さんがおっしゃってました。
前出のサイトでは、現在、観たい演目第3位の新作。
昨年の暮れは、第1位の『道化師の森』。
で、今回第2位の『ルームメイト』。
ということは…。
これからも目が離せませんね。

帰り道にみんなで話題になったこと。
最後に新しいルームメイトが訪ねてきた時の、「今朝新潟から…」という台詞。
これは脚本なのかアドリブなのか。
それにしても、まさか私が観ているからといって…。
いや、それは考え過ぎというものでしょうね。

誰も気づかなかったでしょうが、かな〜り変でしたね、訛り。
しょうがないな。
方言指導の依頼、承ります(爆)。


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コメント 2

座キューピーマジック 神野

パブロフの犬様、早々のご感想ありがとうございます。
そしていつも遥々お越し頂いて、(しかもご家族の通院の日なのに・・・)本当に有り難いことでございます。(合掌)
開演前、クローゼットの隙間から、「あ!GENさんだ!」と山口とこっそり覗いておりました。隙ありっっ!(笑)

やっぱり新潟弁、変でしたかぁ。
一応新潟出身の方にご指導頂いたんですが、保田は日に日に共通語に戻っておりました・・・。
きっと本場の方にはお聞き苦しかったかと存じます。すいませんです。

大切な時間とお金をたくさん使って観に来てくださり、本当にありがとうございました。m(_ _)m
素敵な奥様とお友達にも宜しくお伝えください。
by 座キューピーマジック 神野 (2006-06-13 14:15) 

GEN11

神野さん
コメントありがとうございます。

ひゃぁ、開場直後からチェックされていたとは(汗)。
あのクローゼットから、よっつのまなこがパチパチしてたんですね。
むぅぅ、今晩はうなされそう(爆)。

わざわざ新潟弁を練習したんですかっ。びっくり。
新潟は縦に長いので、言葉は場所によってかなり違います。
今回のは、どちらかというと東北訛りに近かったかもしれませんね。
次回は(いつだ?)魚沼訛りでお願いします(爆)。
by GEN11 (2006-06-13 18:33) 

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